Canon EF-S 18-55mm 1:3.5-5.6 IS の AFの修理

Webを色々と調べると・・・廉価に出来そうだったので修理してみた。スタジオ貸出用レンズで調子悪かったりが事の始まり。

用意するもの

(1)AFが調子悪い該当レンズ

Canon EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS 
今回は調子が悪いなもの1本、そして追加でヤフオクで落札したAFに不具合(他に不具合がないもの)があるもの2本の合計3本を修理した。型番が違うと(2)のフレキケーブルの形状も違ったりするので型番を間違えないように・・・。今回はISの1型で2型ではなく今時のSTMでもないもののみ(要はISの最初期型)を3本修理した。

 

(2)新品のフレキケーブル
この手のものはやはり eBayが最安。10本セットで5ドル弱(日本円で500円ちょっと)と激安。但しeBayなんで時々トラブルがあるので過去の販売実績(sold数がある程度ある)業者が安心かも。

自分が買ったのはこちら

10Pcs CANON 18-55MM LENS FOCUS FLEX CABLE REPLACEMENT REPAIR PART 18-55 MM HOT | eBay

アマゾンだと1本200円前後、ヤフオクだと2本で1400円・・・。

型番などが違うとケーブルも違うのでWebで分解や修理内容を良く見てケーブルの形状を確認しないと間違えそうで危ない・・・。

(3)広い机とか
小さいネジが4+2+2+2(極小)だったりで。
埃が舞っているとマズイのでエアコン停止後1時間以上

(4)ブロア&レンズ拭きとか
拭き塵や拭きムラが少ないものとか

(5)工具
精密ドライバセット、ラジペン、ピンセット(出来ればプラスチック製)、割り箸(先を少しカットしたもの2種類程度)

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(あ)まずは横の赤丸部分の極小ネジを2つ外す

なお、Webの通例はマウント側の4つのネジを先に外すほうが多いようです。が、自分は電子接点固定側を先に外すほうが良いとかと。何故ならばこの2つのネジは結構硬かったりで、マウント側が固定されていたほうがやりやすいので。

(い)マウント側の4つのネジを外す

 

(う)マウントをゆっくり外す

フレキケーブルが1本繋がったままなので強引に外すと・・・このフレキケーブルを断線させる可能性があります。なので電子接点側から化粧品コンパクト開くように外す。外しにくいときは(あ)で電子接点コネクタがフリー状態にしてあるので多少このあたりを押して固着を外しながら・・・

このフレキケーブルを外すには十字状部分(写真 赤丸)をピンセット(できれば金属ではなくプラ製のもの)で引っ掛けるようにして抜く。

このフレキケーブルの取り扱いと取り外しはこの修理で2番目ぐらいに注意が必要なところ。

(え)残りの5つのフレキケーブルを外す

これらの5つのフレキケーブルは先ほどのフレキケーブルと違ってコネクタに近い所に丸い穴(写真:赤丸)が開いていますので、この穴にフック状の工具・・・例えば歯科臨床用スパチュラ?みたいなものを使って、矢印の方向に引き抜くとフレキケーブルの痛みが少なく引き抜けるかも。

(お)AFモーターユニットを外す

固定は写真赤丸の2箇所のネジ(左側1箇所は見切れてますが)とAF/MF切替爪の部分。

まずはAF/MFのスイッチの切替をしてみて、その動きを観察して覚えておいてください。元に組み立てる時に重要です。

そしてスイッチをAFの状態にしておきます。切替爪の部分はL字の爪部分を矢印方向に少し押し込んでやるとフリー状態に。

この後にAFモーターユニット全体を上にゆっくりと引き抜きます。連結ギア部分の細長いパイプも繋がっているのでそのまま上にゆっくりと・・・。(AFモーターユニット単体の写真がなくてすいません 。Webのほかの方のページを参照してください。これの真ん中あたりとか。)

(か)AFフレキ部分の除去

元々付いていたAFフレキケーブルですが、上のほうの赤い矢印は断線しかかっている部分です。

まずは、銀色の熊手形状の接点爪を外しますが、まず2つのネジ(赤点2つ)を外します。そしてピンセットなどで熊手状の接点爪を摘んで上のほうに引き抜きます。

この辺り、焦点距離を適当に移動したり、フォーカスリングを回して、作業しやすいポイントで作業してください。

その後、AFフレキケーブルの引き剥がしになるのですが、赤く囲った2箇所が両面テープ?で固定されている部分です。

なお、YoutubeにはこのAFフレキケーブル交換の手順がアップロードされてたりします。


各レンズ群の取り外しも行う大掛かりな方法になっています。古いAFフレキケーブルが破損してもいい(断線部分を修理しての再利用をしない)場合でかつ、AFフレキケーブル貼りに失敗しても予備のAFフレキケーブルがある場合は、レンズ群の取り外しはしなくても出来ると思います。自分は3本とも1度も失敗することなく出来ました。が、上手くいかない場合も含めて・・・失敗が許されない場合にはこのYoutubeの方法のほうが良いと思います。メーカー修理などもこちらの方法かと。たぶん。

焦点距離を適当に移動したり、フォーカスリングを回して、作業しやすいポイントを探りながら、どのあたりにAFフレキケーブルが固定されているかをじっくり観察して覚えてください。

コンマ数mm程度の誤差は許容範囲のようですが、大幅にズレているとAFが不調になる可能性があります。

で、断線もしくは断線しかかっているAFフレキケーブルを鏡胴の黒いプラ製の押さえ爪の部分を上手く迂回しながらラジペンで引き剥がします。たぶん、複数個に千切れながらとなります。自分の場合は上手くいったケースでは断線部分のみ千切れたましたが、上手く行かないケースでは4つぐらいに千切れてしまいました。

貼り残りの両面テープ部分などはピンセットなどで丁寧にはがしてます。

(き)新品AFフレキケーブルを貼る

焦点距離を適当に移動したり、フォーカスリングを回して、作業しやすいポイントを探りながら作業します。

新品AFフレキケーブルのまず面積の大きなほうの保護剥離テープ(写真の大きな赤丸)を剥がして、もとの位置に「丁寧に送り込む」ようにします。

写真の青丸の鏡胴の押さえ爪部分が邪魔なのですが、この内側に送り込むようにしないとダメです。

位置が正しくない場合は、マイナスの精密ドライバーを差し込んでゆっくりと剥がすことができます。

この両面テープは3M製のようですが、良く出来たもので強く押し付けて圧着しないかぎりは接着が弱いので多少のズレも修正できます。

ほぼほぼ位置が正しいと思ったら!? 割り箸などをつかって鏡胴に強めに押し付けて圧着させます。この元の位置への圧着がこの修理で一番注意するところです。

なお、順番が前後しますが、写真の緑の丸、黄の丸の部分は後述します。

(く)熊手状接点の確認

熊手状の接点部分を元のように取り付けます。そしてフォーカスリングを回して、熊手状の接点部分と新しく貼ったフレキケーブルの接点が上手く接触しているかどうかを確認します。念のため。

次に前記の緑丸の部分の保護テープ(小さな方)を外し、こちらも突起部分がうまく嵌るようになったら強く圧着させます。

(け)AFモーターユニットを戻す

AF/MFの切替はAFの状態にしておきます。

青い部分は、本体部分とAFモーターユニットの継ぎ手ですが、ストローを差し込むような形状ですので、それに応じて差し込んだ状態にして下に下ろしていきます。ある程度降りたら赤い矢印の爪部分を引っ掛けるようにすると上手く嵌ります。

その後、指などで仮固定しておいて、AF/MFの切替をしてみて赤い矢印部分の爪が動く状態であることを確認して赤い2つの丸(1箇所は見切れ)のネジ止め(この2つのネジのみ銀色です)します。

そしてこの状態で AF設定のときにフォーカスリングをゆっくり回してギア音がするのが正しく、MF設定のときにフォーカスリングをゆっくり回してギア音無しで軽く回るのが正しい状態です。

# 実は最初の1本目は失敗してこのAFモーターユニットの固定をやり直してます。

(こ)3枚のシムと5つのフレキケーブルの固定

最初のほうの取り外しの説明では略しましたが、3枚のシムを戻します。シムの穴の位置は上記写真を参考にフレキケーブルとの位置関係を参考にしてください。

次に5つのフレキケーブルですが、取り外しの逆方向でこれも例えば歯科臨床用スパチュラ?みたいなフック状のものを使って、5つのフレキケーブルを戻します。赤丸の位置に差し込んで矢印の方向に押し込みます。

あとは、接点端子のフレキケーブルを戻して(十字状の部分をつかって押し込む感じ)、マウント部分を戻してネジ止め(極小2箇所、小4箇所)で組み立ては完成です。

その後に、AF動作の確認です。18mm、35mm、55mmでそれぞれ近距離、遠距離、中間距離でAF動作の確認をします。

というわけで、3本の修理が完成しました。10本500円ちょっとの部品代なので、実質缶コーヒー2本にも満たない費用で修理できました。時間は1本30分前後でしょうか・・・。このブログを書くほうが余程の時間と手間でした。

多少の手先の器用さは必要ですが、部品代も安いので・・・故障して困っている人がいれば参考になればと思います。

で、各メーカーのズームのキットレンズのAFの故障は結構多いようです。特にeBayではCanon用が多数出回ってます。フレキケーブルのちょっとした改良(たぶん数十円のコストアップ)でこの故障は激減する筈なので・・・廉価なレンズとは言え、もう少しは耐久性が欲しいなと思います。

 

追記: 2017年 10月26日

調子に乗ってさらに予備用にと「AF不良」という記載の同ジャンクレンズを入手。しかしながら、分解したところ、こちらはフレキケーブルも断線の様子はなく綺麗な状態。

気づいた点が2つ。MF時にヘリコイドが重くてモーターのトルクが弱い感じで回り切れない様子。薄茶色のグリスが固まった粉があちこちに。

ということで、あちらこちらに飛散してしまっている固まった粉を掃除し、適当なグリス(無駄に極圧対応品)をヌリヌリしてグリスアップしたら「ほぼ」治ってしまいました。(もうちょっと丁寧にグリスアップすればよかったかも)

この薄茶色の元グリス?ですが、レンズ保管で除湿乾燥剤がグリス(の溶剤成分)を無駄に吸着乾燥させてしまったのかもしれません。たぶん、たぶん。

乾燥させ過ぎ(油分吸着)に注意な例かなと思った次第。

 

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